労災保険法施行規則等の一部改正
○労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第70号)
☆概要のみ紹介
[1] 労働者災害補償保険法施行規則の一部改正関係
1 介護(補償)給付の最高限度額及び最低保障額の改定
介護(補償)給付の最高限度額及び最低保障額は、最高限度額については特別養護老人ホームの介護職員の平均基本給を参考に、最低保障額については最低賃金の全国加重平均を参考にして見直すこととされており、この度、所要の見直しが行われた。
⑴ 常時介護を要する被災労働者
最高限度額について、165,150円から「166,950円」に引き上げ、最低保障額について、70,790円から「72,990円」に引き上げることとされた。
⑵ 随時介護を要する被災労働者
最高限度額について、82,580円から「83,480円」に引き上げ、最低保障額について、35,400 円から「36,500円」に引き上げることとされた。
2 障害(補償)年金及び傷病(補償)年金の定期報告等の見直し
⑴ マイナンバー情報連携により特定記録個人情報の提供を受けることができるときは、定期報告の提出を求めないこととされた。
⑵ 傷病補償年金及び傷病年金に係る定期報告においては、医師又は歯科医師の診断書の添付を求めないこととされた。
3 処分性のある社会復帰促進等事業の規定
通達のみで事業内容を定めているもののうち、処分性を有する事業について、労働者災害補償保険法施行規則(労災則)に根拠規定を明記することとされた。
具体的には、次の事業が労災則に規定された。
⑴ 義肢等補装具費の支給
⑵ 外科後処置の実施
⑶ 労災はり・きゅう施術特別援護措置の実施
⑷ アフターケアの実施
⑸ アフターケア通院費の支給
⑹ 振動障害者社会復帰援護金の支給
⑺ 頭頸部外傷症候群等に対する職能回復援護費の実施
⑻ 労災就学援護費の支給
⑼ 労災就労保育援護費の支給
⑽ 休業補償特別援護金の支給
⑾ 長期家族介護者援護金の支給
⑿ 労災療養援護金の支給
4 働き方改革推進支援助成金の新設(時間外労働等改善助成金より改称)等
平成 31 年4月1日から働き方改革関連法による改正後の労働基準法が順次施行されているところであり、令和2年4月1日からは、中小企業に対する時間外労働の上限規制が適用されることになった。
また、突発的な業務増加に伴う新たな時間外労働の増加、中小企業に対する割増賃金率の猶予措置廃止(令和5年4月から)及び適用猶予業種に対する時間外労働の上限規制の適用(令和6年4月から)に対して、中小企業が対応するためには、生産性を高め、業務の効率化等により労働時間の短縮を行う必要がある。
そこで、生産性を高めながら働き方改革に取り組む中小企業事業主を支援することを明確化するため、次のように、時間外労働等改善助成金の名称変更及び助成対象の拡充を行うこととされた。
⑴ 時間外労働等改善助成金の名称を「働き方改革推進支援助成金」に改めることとされた。
⑵ 新たに「労働時間短縮・年休促進支援コース」を設けることとするため、 働き方改革推進支援助成金の支給に当たり、中小企業事業主が作成する計画に記載する労働時間等の設定の改善のための措置について、「所定外労働の削減のための措置」を「労働時間の短縮のための措置」とすることとされた。
5 前払一時金等の利率の改正
労災年金受給者が、障害(補償)前払一時金、遺族(補償)前払一時金を選択した場合、支払うべき年金支給額から中間利息を控除して算定した額の合計が前払一時金の額に届くまで年金を支給停止することとしており、当該中間利息については、法定利率の100分の5と規定していた。
また、損害賠償との調整に関する暫定措置における年金給付の支給停止についても、同様に100分の5が用いられていた。
しかし、令和2年4月1日施行の改正民法により、法定利率が改正されることから、「100分の5」という部分を「算定事由発生日における法定利率」に改めることとされた。
[2] 旧炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則の一部改正関係
炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法の規定に基づき経過措置として支給する「介護料」の最高限度額及び最低保障額について、[1]の1と同様の趣旨による改正が行われた。
この省令は、令和2年4月1日から施行