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2023.06.14
企業にも大きな影響のある「こども未来戦略方針」正式決定

トピックス 法改正

企業にも大きな影響のある「こども未来戦略方針」正式決定

政府の「こども未来戦略方針」について説明がなされています。

「こども未来戦略方針」

昨日(2023年6月13日)、第6回となるこども未来戦略会議が開催され、政府の「こども未来戦略方針」 が決定されました。これまでのこども未来戦略会議の資料として公開されているものと大きな変更はありませんが、岸田総理大臣が会見を行い、以下の基本理念を踏まえた上で、加速化プランにおいて実施する具体的な施策を説明しています。

内容

[3つの基本理念]
(1)若い世代の所得を増やす
(2)社会全体の構造・意識を変える
(3)全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する

 従業員の生活に関連する部分のため、多くの項目について影響が及ぶとは思いますが、特に企業が注目したい事項として以下が挙げられるでしょう。

・いわゆる「年収の壁(106 万円/130 万円)」への対応
 いわゆる 106 万円・130 万円の壁を意識せずに働くことが可能となるよう、短時間労働者への被用者保険の適用拡大、最低賃金の引上げに引き続き取り組む。
 こうした取組と併せて、人手不足への対応が急務となる中で、壁を意識せずに働く時間を延ばすことのできる環境づくりを後押しするため、当面の対応として、被用者が新たに 106 万円の壁を超えても手取り収入が逆転しないよう、労働時間の延長や賃上げに取り組む企業に対し、複数年(最大3年)で計画的に取り組むケースを含め、必要な費用を補助するなどの支援強化パッケージを本年中に決定した上で実行し、さらに、制度の見直しに取り組む。

・男性育休の取得促進 ~「男性育休は当たり前」になる社会へ~
 国際的に見ても低水準にある夫の家事・育児関連時間を増やし、共働き・共育てを定着させていくための第一歩が男性育休の取得促進である。「男性育休は当たり前」になる社会の実現に向けて、官民一体となって取り組む。このため、制度面と給付面の両面からの対応を抜本的に強化する。
 2025 年3月末で失効する次世代育成支援対策推進法を改正し、その期限を延長した上で、一般事業主行動計画について、数値目標の設定や、PDCA サイクルの確立を法律上の仕組みとして位置付けるとともに、今後の次世代育成支援において重要なのは「男女とも仕事と子育てを両立できる職場」であるという観点を明確化した上で、男性の育児休業取得を含めた育児参加や育児休業からの円滑な職場復帰支援、育児のための時間帯や勤務地への配慮等に関する行動が盛り込まれるようにする。あわせて、育児・介護休業法における育児休業取得率の開示制度の拡充を検討し、これを踏まえて有価証券報告書における開示を進める。
 さらに給付面の対応として、いわゆる「産後パパ育休」を念頭に、出生後一定期間内に両親ともに育児休業を取得することを促進するため、給付率を現行の 67%(手取りで8割相当)から、8割程度(手取りで 10割相当)へと引き上げる。
 男女ともに、職場への気兼ねなく育児休業を取得できるようにするため、現行の育児休業期間中の社会保険料の免除措置及び育児休業給付の非課税措置に加えて、育児休業を支える体制整備を行う中小企業に対する助成措置を大幅に強化する。

・育児期を通じた柔軟な働き方の推進 ~利用しやすい柔軟な制度へ~
 こどもが3歳になるまでの場合においては、現行の育児・介護休業法上、短時間勤務を措置することが事業主に義務付けられており、フレックスタイム制を含む出社・退社時刻の調整等が努力義務となっている。これらに加え、新たに、子育て期の有効な働き方の一つとして、テレワークも事業主の努力義務の対象に追加することを検討する。
こどもが3歳以降小学校就学前までの場合においては、育児・介護休業法で、
 短時間勤務、テレワーク、フレックスタイム制を含む出社・退社時刻の調整、休暇など柔軟な働き方について、事業主が職場の労働者のニーズを把握しつつ複数の制度を選択して措置し、その中から労働者が選択できる制度(「親と子のための選べる働き方制度(仮称)」)の創設を検討する。さらに、現在はこどもが3歳になるまで請求することができる残業免除(所定外労働の制限)について、対象となるこどもの年齢の引上げを検討する。
 柔軟な働き方として、男女ともに、一定時間以上の短時間勤務をした場合に、手取りが変わることなく育児・家事を分担できるよう、こどもが2歳未満の期間に、時短勤務を選択したことに伴う賃金の低下を補い、時短勤務の活用を促すための給付(「育児時短就業給付(仮称)」)を創設する。
 こどもが就学前の場合に年5日間取得が認められる「子の看護休暇」について、こどもの世話を適切に行えるようにする観点から、対象となるこどもの年齢の引上げのほか、こどもの行事(入園式等)参加や、感染症に伴う学級閉鎖等にも活用できるように休暇取得事由の範囲を見直すとともに、取得促進に向けた支援についても検討する。

・多様な働き方と子育ての両立支援 ~多様な選択肢の確保~
 子育て期における仕事と育児の両立支援を進め、多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットを構築する観点から、現在、雇用保険が適用されていない週所定労働時間 20 時間未満の労働者についても失業給付や育児休業給付等を受給できるよう、雇用保険の適用拡大に向けた検討を進める。失業した場合に生計に支障を与えるような生計の一端を担う者を新たに適用対象とし、その範囲を制度に関わる者の手続や保険料負担も踏まえて設定する。

 法令改正が必要な内容については今後、議論が重ねられていきます。実務対応が必要な事項も多くありますが、そもそもの職場の意識や雰囲気を変えていく必要もあります。すぐに変わるものではないため、この意識や雰囲気づくりについては早めに取組みを進めたいものです。

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