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2020.02.13
定年後の再雇用に関する雇用契約関係が存在しないとされた事例

コラム

定年後の再雇用に関する雇用契約関係が存在しないとされた事例

定年退職後の再雇用において、開発担当部署を希望したが、希望に添えないことを説明されたために再雇用を拒否し、その後定年により退職することとなったが、希望どおりの職種での雇用契約が存在するとして会社を訴えた事案である。

定年後の再雇用に関する雇用契約関係が存在しないとされた事例

アルパイン事件

東京地方裁判所令和元年5月21日判決



事案の概要



 音響機器の製造販売を行う会社(被告)の従業員であった原告が、定年退職後の再雇用において、開発担当部署を希望したが、希望に添えないことを説明されたために再雇用を拒否し、その後定年により退職することとなったが、希望どおりの職種での雇用契約が存在するとして会社を訴えた事案である。



判旨

 被告会社が高年齢に基づく高年齢者雇用確保措置である高年法9条1項2号所定の継続雇用制度を設けていることが認められるとし、「高年法は、継続雇用を希望する労働者を定年後も引き続き雇用する旨求めるにとどまり、同法中に労働者が希望する労働条件での継続雇用をも使用者に義務付ける定めはない。

 すなわち、継続雇用後の労働条件は、飽くまで、労使間の合意により定まるべきものであって、労働者が使用者に対して希望すれば直ちにその希望するがままに勤務部署や職務内容が定年前と同じ雇用契約が定年後も継続するというかのような原告の主張には、法律上の根拠がない。」とした。

解説

 本件は、定年後の継続雇用にあたり、従前の職種を希望し、その希望どおりにならないといわれたため、再雇用契約を拒否した原告が、定年退職となった後に再雇用契約が存在するとして会社を訴えた事件である。

 本件では、開発部門にいた原告が定年後も開発部門での勤務を希望したが、若手の社員の育成の必要があることから、開発部署に定年退職者を配置することは会社の人事政策上できないということから、総務労務部門での勤務を会社が提示した。

 定年制度はこういったケースで企業の新陳代謝をはかるという意義もあるのであり、会社としては技術部門の若返りをはかることは当然にありうることである。

 原告は自分の技術が役に立つという認識があったようであるが、会社とはこの点で大きく認識がずれていたようである。

 そこで総務労務部門での再雇用を拒否したために、就業規則所定の日に定年退職し、再雇用されなかった。

 本件は裁判になることが個人的には不思議な事案でもある。裁判所も高年法の再雇用については、「雇用する」ことが必要であっても、業務内容を変更しないことまでは求めていないとし、企業での新陳代謝をはかることが可能というのはむしろ当然の前提としたものと考えられる。

 再雇用しなければならないというのは企業にとって大きな負担であるが、再雇用時に高齢者をどのポストにおくかの裁量がないとなるとさらに大きな負担となる。

 本件はこういった人事政策をとれるということを示すものであり、当然の判断であると言えよう。



概要

 開発部門に所属していた原告が、定年後の再雇用で高年法により希望部署に配属されるべきであると主張し、再雇用を拒否したのちに雇用契約が存在すると主張した事案である。裁判所は部署まで希望どおりとする法的な根拠はないとして請求を認めなかった。

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