新型コロナウイルスの感染拡大を受け最低賃金の引き上げの目安の提示を断念し、据え置く方針を示しました。(全国平均1円増)最低賃金を払わなかったときの罰則、計算方法についても解説しております。ご確認ください。
最低賃金の種類
●地域別最低賃金
一般的に言われる最低賃金になります。
産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用されます。
2020年10月以降の地域別最低賃金
東京 1013円
大阪 964円
兵庫 900円
その他の都道府県は下記よりご確認ください。
地域別最低賃金の全国一覧
●特定最低賃金
特定地域内の特定の産業の基幹的労働者とその使用者に対して適用されます。
下記よりご確認ください。
特定最低賃金の全国一覧
計算方法
●月給の場合
月給÷1ヶ月月平均所定労働時間
一般的な計算例
土日祝休日
年間所定休日 125日
年間所定労働日数 240日
1日の所定労働時間 8時間
賃金 基本給 14万円
職務手当 2万円
通勤手当 1万円
皆勤手当 1万円
① 基本給+職務手当(通勤手当、皆勤手当は含めません)
※手当については下記、【含める手当・含めない手当】をご確認ください。
14万円+2万円=16万円
② 年間所定労働日数×1日の所定労働時間
240日×8時間=1920時間
③ 年間所定総労働時間÷12か月
1920時間÷12か月=160時間
④ 月給÷1ヶ月月平均所定労働時間
16万円÷160時間=1000円
1000円が地域別最低賃金以上であれば、問題ありません。
地域別最低賃金未満である場合は、賃金を見直す必要があります。
東京→× 1013円未満になるので、見直す必要があります
大阪→〇 964円以上になるので、問題ありません
兵庫→〇 900円以上になるので、問題ありません
※罰則については下記、【最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合の罰則】をご確認ください。
時給、日給、出来高払い制などについては下記よりご確認ください。
最低賃金額以上かどうかを確認する方法はコチラ
含める手当・含めない手当
●含める手当
役職手当、職務手当、職能手当、住宅手当、資格手当
●含めない手当
精皆勤手当、通勤手当、家族手当、結婚手当、時間外手当、深夜手当、休日手当、固定残業代
ただし、実態に即して判断します。
例1:固定残業代を役職手当として支給
実態が固定残業代になるので、含めない。
例2:家族手当としてすべての労働者に一律支給
実態が家族の人数によって変動するものではないので、含める。
対象になる賃金についてご確認ください。
最低賃金の対象となる賃金はコチラ
最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合の罰則
●地域別最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合
地域別最低賃金額との差額を支払う必要があります。
2020年4月より賃金請求権の消滅時効が2年から3年になりましたので、
過去3年分の差額を支払う必要があります。
※監督署からの是正勧告に従わなかった場合、50万円以下の罰金あり(最低賃金法4条2項・40条)
●地域別最低賃金以上は支払っているが、特定最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合
地域別最低賃金額と特定最低賃金との差額を支払う必要があります。
過去3年分の差額を支払う必要があります。
※監督署からの是正勧告に従わなかった場合、30万円以下の罰金あり(労働基準法24条第1項・120条第1号)
罰則についてご確認ください。
最低賃金制度についてはコチラ
時効の改正についてご確認ください。
賃金請求権の時効の改正はコチラ