2022.03.15
2022年4月1日以降増加する?消滅時効の延長により2年を超える未払賃金の請求
2020年4月1日、民法の改正に合わせ労働基準法が改正され施行されました。この改正は、改正民法において、短期消滅時効(1年間)が廃止されるとともに、一般債権に係る消滅時効は、①債権が権利を行使することができることを知った時(主観的起算点)から5年間行使しないとき、または、②権利を行使することができる時(客観的起算点)から10年間行使しないときに時効によって消滅するとされたことから行われたものです。
改正された労働基準法では、それまでが2年であった賃金請求権の消滅時効を、5年に延長するものでした。ただし、賃金請求権について、直ちに長期間の消滅時効期間を定めることは、労使の関係を不安定化するおそれがあり、紛争の早期解決・未然防止という賃金請求権の消滅時効が果たす役割への影響等も踏まえて慎重に検討する必要があるため、当分の間、3年とされました。
この消滅時効が3年となる賃金請求権は、2020年4月1日以降に支払われる賃金に適用されることになっており、2022年4月1日以降、過去の未払賃金があったときには、これまでの2年を超える請求が従業員から行われる可能性があります。
近年はサービス残業等と表現される不払残業の発生防止にも力を入れる企業が増え、未払の賃金は減ってきているように思われますが、仮に生じているときには、より支払うべき額が大きくなる可能性があります。これを機に、給与計算の誤りがないかといった確認をしておきたいものです。